静岡の方言をダイジェストで御紹介します。
文学では小川国男さんや井上靖さんの小説に、静岡の方言による会話が登場します。自分は静岡人なので、「あれ?これもそうなの?」と驚きます。「遊ぼっか」が方言だとは知りませんでしたし、「後悔するぞえ」の「ぞえ」の語尾も静岡弁とは知りませんでした。
静岡県は、「徳川家康遺訓」や「清水一家三十六人衆」がある事で、関東に次いで方言が少ない県であると謂われています。
方言は、共通のものもあります。江戸時代の参勤交代や国替え、更に明治維新以降、全国への引越しが自由になった事、はっきりしたものではこれらが原因で共通の方言が出来上がった、と推察されます。富士川を境に静岡弁が異なるのもそれが理由でしょう。静岡弁は、その共通のものも含めると、20万~30万語彙があるとされています。
また方言には、「微細地名」というのがあります。その地域で呼ばれている地域名、俗称の事です。8万5千の静岡の地名の内、8941の微細地名があるとされています。「静岡」の地名の由来は、明治初期、駿府藩の学者・向山黄村が、考案したと謂われています。
表向きの理由は「府中は不忠に繋がるから」という事でしたが、徳川ゆかりの浅間神社のある賤機山を「シズ丘」と見立てて、卑しいに通じる賤を避けて静とした、という事のようです。このあたりの判断の背景は、維新まもない頃に命名するにあたり、徳川ゆかりの地であるが故、静岡の民衆、華族となった徳川家、明治政府の落としどころを狙ったものであると謂えるでしょう。
賤機とは機織機の意味です。賤はシズで、木の繊維という意味より賤の字があてられました。悪い字をあてた背景として、大陸から絹や木綿が伝わり、それより木の繊維で織物の素材とするシズは劣ったものだという、当時の背景があるようです。